天城燐音は絶対にアイドルを辞めるな

あんさんぶるスターズ!!のメインストーリーを読み終えた。

本編の感想を書こうと思ったが、その前に私のお気持ちポエムを綴らせてほしい。決してあんスタに対して肯定的な内容ばかりではないので、不快に感じる人は感想ポエムパート以外読み飛ばしていただいて構わない。このブログの本質は私の感想ポエムにあり、以下に綴るお気持ちポエムは本当にただのお気持ちに過ぎないからである。

 

~~~~~ ここからお気持ちポエム ~~~~~

 

私はズ!を事前登録から楽しみにしていたオタクで、本当にあんスタが大好きで、だからこそ数多の大炎上に耐えきれずほとんど降りたような状態のまま五歩くらい離れた位置からあんスタを捏ねくり回していた厄介な女のひとりである。

運営のこともオタクのことも未だに決して好きではないし、あんさんぶるスターズというジャンルの全てを諸手を挙げて愛せるわけでもない。あんスタはやっぱり最高……百億年続け……という感情と、やっぱりだめじゃん本質的には何も良くなってないじゃんそれならせめて綺麗なまま終わってくれ頼む~!という感情とを同じくらいの質量で抱えている。

 

新展開だって、リリースされてから一週間くらい経つまではちっとも歓迎できていなかった。私が大好きだったあんさんぶるスターズが私の知らないものに変わっていくのが怖くて、置いていかれたくなくて、ズ!の最終日にはめそめそ泣いたりもした。

リリースされてからおずおず触ったズ!!で、(ズ!の展開上いきなり馴れ馴れしく来られても反応に困ると言われればそれはそうなのだが)最推しだった薫が妙にぎこちなく接してくるようになっていて、更に傷ついてまた泣いた。あまりにもショックで何年間もホームに設定していた薫を外すという繊細童貞キモオタクムーブを発動して、代わりにかねてからお顔が可愛いなと思っていた新ユニットのキャラクターを配置した。椎名ニキくんである。

私と一緒に過去を紡いできていないからこそ、ニキくんは私に優しかった。何もかもが変わっていくズ!!の中で、基本的にお腹が空いた話とご飯の話しかせず人懐こいニキくんを見ているとなんとなく安心した。

 

ニキくんをきっかけに、苦手意識を抱いていた新ユニに目が向くようになった。ニキくんの所属しているCrazy:Bは、何はともあれ曲が良かった。曲調も歌詞も好きで、これまでよく聞いていたズ!の曲にCrazy:Bの曲が混ざるようになってきた。聞けば聞くほど、考えれば考えるほど、私は天城燐音のことも好きだなと気付かされて、ちょっと悩んだけれどそれも認めることにした。好きを肯定しないのは、不健康なことだから。

新ユニを受け入れる体制が私の中で整ってきたところで、ようやくメインストーリーに手を付けることにした。メインストーリーを読まなければあんさんぶるスターズは語れない。音ゲーになろうがなんだろうが、あんさんぶるスターズの本質はストーリーであり、あとのゲーム要素は全部おまけなのだから。

 

メインストーリーを読んで、ALKALOIDのこともいとおしく思うようになった。私はずっとずっとOYSのことを信じていて、「輝きたかったんだ あの空で光る星のように」があんさんぶるスターズのテーマだと思っているから。名もない星々が、きらきら光る一等星になっていくのを純粋に応援したくて、どんどんALKALOIDに愛着が湧いてきた。

そりゃそうだ。触れてみれば好きになるに決まっている。だってこれはあんさんぶるスターズだから。私はあんさんぶるスターズの全部が好きなわけではないけれど、でもあんさんぶるスターズを愛しているから。新ユニだろうがなんだろうが、愛せないわけがない。魅力的でないわけがない。

 

~~~~~ ここまでお気持ちポエム ~~~~~

 

そうして、冒頭に戻る。私は昨日、ようやっとメインストーリーを読み終えた。

兄弟愛とかクソデカ感情とか思うところはたくさんあるのだが、一晩寝て、起きて、抱いた感想はひとつだけだった。

 

「天城燐音は絶対にアイドルを辞めるな」

ただそれだけだ。

 

天城燐音というキャラクターは、作中で多くの既存ユニットにひどいことをした。ひどいことという簡単な言葉で片付けるのすら躊躇われるほど、最低なことをした。

その行動に理由があったとはいえ、正直なところ、許せないオタクもいると思う。私だって自分が流星隊のオタクだったなら暴れ狂っていた。そのあとどんなふうに描かれようが、天城燐音のことを嫌いになっていたかもしれない。

 

あくまで画面の向こうの人物として、裏事情も何もかも全部込みで彼らを追いかけている私たちですらそう思うのだから、ましてや作中に登場する数多のファンたちはきっともっと辛くて、もっと憤っていて、もっと、もっと苦しんだのだと思うのだ。それはなにも踏みにじられた側のアイドルのオタクだけの話ではない。たぶんあの世界に生きている天城燐音のオタクのほとんども、形は違えど踏みにじられた側と同じように、死ぬほど苦しんだと思う。

ES内で彼らの立場が悪くなるにつれて、Crazy:Bのオタクはきっとどんどん肩身が狭くなっていったはずだ。現場に行けば陰口を叩かれるような世界だったかもしれない。たぶんツイプロに「クレビ担とは一切繋がりません」という旨の文章を載せた他担だっていたはずだ。客観的に見てCrazy:Bがひどいことをしていることだって、わかっているオタクの方が多かったはずだ。推しが他ユニを煽って喧嘩を売って炎上上等で名前を売っていく姿なんて少なくとも私は見たくない。

 

でも、メインストーリーの終盤、MDMの舞台には多くのCrazy:Bファンが駆けつけていた。ソロ時代からの古株オタクの姿も描かれていた。それがどんなにすごいことか、きっと賢い燐音はわかっているのだろうけど、でももう一度よく考えてみてほしい。

あの場に駆けつけたオタクは、大演説をぶちかました燐音が怒り狂った他担に石を投げられ追いかけまわされるまで至っても、それでも燐音を、Crazy:Bを信じた人間たちだ。

 

「あんたの物言いに共感したり応援したり、そういうのは無関係で単に歌や顔が好きだったり──好きになった理由は色々だけど、それでも確実に、あんたたちを好きで応援してるひとたちがいたよォ」

 

そう藍良は言っていたけれど、単に歌や顔が好きなだけなら、四面楚歌のCrazy:Bからはとっくに離れているはずなのだ。誰かを愛するということは、大変なことだから。顔が好きなだけでは、歌が好きなだけでは、ついていけない。

 

「最近のあんたは変わっちゃったけど──今でも応援してる、ずっと好きでいたいってさ」

 

この言葉の重みが、ちゃんと伝わっているだろうか。正統派だった大好きなアイドルが泥にまみれても、世間に石を投げられても、応援している、ずっと好きでいたいと答えるオタクの愛がちゃんと伝わっているだろうか。伝わっていると思うけど、燐音は賢いからちゃんとわかっていると思うけど、それでも問いたい。本当に、本当に大切なことだから。

たぶん、たぶんだけれど、あの世界のファンたちは、ステージに立つ燐音のきらきらした笑顔が忘れられなくて、嘘だと思いたくなくて、必死で信じていたんだと思う。それがどんなにすごいことか、燐音はこれから先何度だって考えてほしい。推しが極悪人として扱われたって、信じられないような言動を繰り返したって、それでも「アイドル・天城燐音」を信じて愛したオタクを大事に大事に抱きしめてあげてほしい。

 

天城燐音、絶対にアイドルを辞めるな。

全部をなげうって故郷についていくと言ってくれた椎名ニキくんと、どんな目に遭ったってあなたを信じ続けて愛したファンを、残りの全生涯をかけて幸せにしてくれ。