推しがラブソングをリリースした話

突然だが、推しの話をさせてほしい。

グランブルーファンタジーに登場する、サンダルフォンという名前の男の話だ。

 

サンダルフォンは、作中世界の管理機構にあたる「天司」と呼ばれる人工生命体だ。

傑作と呼ばれた天司長・ルシフェルが唯一手ずから作り上げた天司である彼は、なんやかんやあって作中では一度世界を滅ぼそうとしている。そのあたりの事情を詳しく説明するとそれだけで軽く1時間はかかるので、グラブルを知らないオタクは「滅ぼそうとしたんだなあ」とだけ思っていてほしい。

 

そんな推しが、先日キャラソンを出した。

タイトルは「Ain Soph Aur」。エデンの園に植えられていた生命の樹に由来する語であると同時に、プレイアブルキャラクターとして実装されているサンダルフォンの奥義名でもあり、さらに言うならば先日まで開催されていたグランブルーファンタジー5周年イベント「どうして空は蒼いのかⅢ」のサブタイトル「000」もこのアイン・ソフ・オウルから来ている。

まぁそれはいい。私は浅学で生命の樹(厳密に言えばセフィロトの樹)のことをいまひとつ理解できていないし、奥義名がそのままキャラソンのタイトルに……というのも、まぁ、ありがちだよなと思う。だからそんなことはどうでもいいのだ。

 

ただ、歌詞の内容はどうでもよくなかった。

 

 キャラソン界において、「明らかに特定の個人を意識して作られている歌」という存在はそう珍しいものではないと思う。

少し前の話をするなら黒〇のバ〇ケの高〇〇成のキャラソンが凄かった。あの男はすごい。キャラソンで「うちの偏屈なエース様に万歳」と歌い上げただけでも驚いたのに、その後リリースされたエース様本人とのデュエットソングでは「愛すべき我がエース」と言ってのけていた。いつの間にお前のものになったんだ。

そのほかの例を挙げるなら、最近だとあ〇さん〇る〇ター〇!の朔〇〇月のソロ曲も話題になっていたように思う。「かなわない恋に似た切なさ」を抱いているのは我々に対してではないことを、古株の転校生である我々はよく知っている。まぁ私は彼女じゃないからな。

 

ただ、「Ain Soph Aur」はこの面々に勝るとも劣らないクソデカ感情の詰め込まれた曲だった。

百聞は一見に如かずともいう。まずはこれを見てほしい。

 

サンダルフォン(鈴村健一) Ain Soph Aur 歌詞&動画視聴 - 歌ネット

 

…………………………………………いや何これ。

 

なんだこれ。本当に何なんだ。

このキャラソンが「ラブソング」と呼ばれているのは知っていた。でもそれはいつものオタクの妄言だと思っていた。

でもこれはだめだ。擁護のしようがない。どう頑張ってもラブソングだ。

 

ルシフェルから「不器用な愛情」を与えられたのだとサンダルフォンは歌う。私が考えた歌詞ではないのに。公式からリリースされた、正式なキャラクターソングなのに。

ならせめて見届けよう ”これから”を その目と共に」と歌い上げるのだ。天司長の地位を継承するというルシフェルの遺言を聞いて、世界なんてどうでもいいと叫んだサンダルフォンが。

ほろ苦い記憶 焦がれては届かず泣いて」に至っては、言葉選びがもうほとんど西野カナのそれだ。2000年以上を生きた人工生命体なのに。幾つもの島を落とし、嫉妬心にかられてルシフェルの直属の部下たちの羽を毟った(※公式設定)男なのに。

 

無私無欲だったルシフェルが、最期にようやく口にした自分自身の願いが「もう一度あの中庭で君と珈琲を」だった。

そしてサンダルフォンは、「Ain Soph Aur」で「願うなら、叶うなら、もう一度 貴方と二人 珈琲を」と歌っている。もう一度言うがこれは公式からリリースされたキャラクターソングだ。私の妄想ではない。

 

歌詞の中に「ヤバくないところ」がないので特に感情の圧が凄まじいところを抽出したが、本当に、歌いだしからラスサビまでの全ての歌詞がルシフェルに関係しているのだ、この歌。そんなことってある?私の妄想じゃないのに。鈴〇〇一氏が歌っているのに。

 

もし少しでも興味を持ってくれたジャンル外のオタクがいたら、このMVを見てからグランブルーファンタジーのインストールを検討してみてほしい。

もちろんこれも断じてファンが自作した手書きMADではない。公式が制作した、正式な、MVだ。

 

腐女子たちよ、聞いてくれ。これが私の推しだ。

これが、グランブルーファンタジーだ。

 

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